[メディアリリース]視覚障がいに関わる“壁”を溶かすプロダクトやサービスの新規事業創出を支援する「VISI-ONE アクセラレータープログラム」採択企業 6 社を決定
2022/07/29
参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下 Santen)、特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会(東京都新宿区、以下、JBFA)、一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(東京都新宿区、以下、IBF Foundation)は、「見える」に関するイノベーションを追求し、視覚障がいに関わる“壁”を溶かす新規事業創出支援を目的とした「VISI-ONE アクセラレータープログラム」(運営事務局: ReGACY Innovation Group 株式会社)において、採択企業 6 社を決定したことをお知らせします。
「“見える”と“見えない”の壁を溶かし、社会を誰もが活躍できる舞台にする」というビジョンを掲げ、2020 年にSanten、JBFA、IBF Foundation がパートナーシップ契約を締結しました。その 3 者パートナーシップでは、「共体験でそれぞれの個性や強みを理解する」、「見えるに関するイノベーションを創出する」、「視覚障がい者のQuality of Life (生活の質:QOL)を向上する」という 3 つのゴールを設定し、2021 年 4 月から様々な活動を「VISI-ONE プロジェクト」として展開しています。本「VISI-ONE アクセラレータープログラム」も、そのプロジェクトの一環です。
このプログラムでは、視覚障がいに関わる 6 つの壁 (①オンラインの壁、②オフラインの壁、③能力の壁、④働き方の壁、⑤つながりの壁、⑥思いがけない壁) を溶かす募集領域に対して新規事業創出を図る企業・団体から事業化アイデアを募集し、様々な業界から多数の応募が寄せられました。この度、その中から、社会課題との適合性、アイデアの新規性と将来性、そして、共生社会を見据えたインクルージョンの観点から総合的に評価し、採択企業 6社を決定しました。
■採択企業 6 社について (50 音順)
企業名: 株式会社 Ashirase (https://www.ashirase.com/)
応募領域: オフラインの壁
応募内容 :靴の中に挿入するデバイスにより、音声ではなく振動で情報を伝えるナビゲーション「あしらせ」を旅行や出張時に手軽に公共交通機関の窓口で借りて充実した旅・移動ができる仕組み
審査コメント: 移動に伴う問題のボトルネックと、現状のナビゲーションシステムの課題を深く理解している点を評価しました。また、サービスの技術実証やコンセプト検証も進んでおり、社会実装までの難所や論点をクリアに認識できている点を評価しました。
企業名: 株式会社 GATARI (https://gatari.co.jp/)
応募領域: オフラインの壁
応募内容 :Mixed Reality*技術を活用した、視覚障がい者に体験価値をもたらす常設デジタル空間の提供
審査コメント: 既に展開が図られているエンターテインメント領域を超え、施設や空間におけるインフラとしての価値追求の将来性を評価しました。また、音声などの情報付加により、現実世界を超えた空間価値を創るというコンセプトそのものが、視覚障がいから生じる多様な情報格差の克服につながる可能性を評価しました。
*Mixed Reality、とは、複合現実を指します。現実世界のすべてに対し、仮想の映像や情報を重ね合わせて表示させる技術です。
企業名 :クラスリー株式会社 (https://classly.co.jp/)
応募領域 :オンラインの壁
応募内容 :視覚障がい者にとって、より有益となる AI を活用した合成音声**による「音声コンテンツ」の提供
審査コメント: テキストの音声化技術の精度が非常に高く、視覚障がいによる様々な困難の解消につながる可能性を評価しました。また、サービスの拡張性が高い点も評価につながりました。
**合成音声とは、コンピュータなどを使い人間の声を真似た音声を人工的に生成する技術です。
企業名: 株式会社コンピュータサイエンス研究所 (https://www.computer-science.co.jp/website/)
応募領域: オフラインの壁、思いがけない壁
応募内容 :スマートフォンアプリ「視覚障がい者歩行支援アプリ Eye Navi」を活用した屋外歩行に役立つ情報提供および、外出目的達成のためのナビゲーションなどの支援
審査コメント: 位置情報によるナビゲーションに加え、画像認識技術を活用することで、移動に伴うあらゆる課題の克服につながる可能性や、様々なシーンにおけるナビゲーションをアプリ上にオールインワンで提供する設計も評価しました。
企業名: MAMORIO 株式会社 (https://mamorio.jp/)
応募領域: 思いがけない壁
応募内容: 近くにあるものを検知できる技術を活用した、自販機の場所の探知から購入までのナビゲーション
審査コメント: 視覚障がい者にとって様々な課題をはらむ自動販売機での購入体験において、視覚障がい者をサポートする開発を初期の目的としつつ、インバウンド観光客なども包括的に取り込む可能性を秘めた、晴眼者を含めたインクルーシブな DX 事業である点を評価しました。
企業名: リンクス株式会社 (https://www.linkx.dev/shikai)
応募領域: オフラインの壁、思いがけない壁
応募内容: 視覚障がいによる移動のしにくさの解消・利便性向上のため、視覚障がい者にとっての日々の生活インフラである点字ブロックに 二次元コードを貼り、音声で情報を届ける仕組み
審査コメント: 既に初期導入の実績があり、社会実装の実現性が非常に高い点を評価しました。将来のインクルーシブなプロダクト・サービスの市場の拡大、それに伴う企業との事業提携の需要増加も見込まれ、サービス実装に向け、今後力強い加速となる可能性を評価しました。
■今後の予定
各採択企業は、7 月~9 月にかけて、視覚障がい者を含むアドバイザリーボードメンバーの伴走を受けながら、実装パートナー企業と共にコンセプトの実証などを行い、社会実装を視野に事業案をブラッシュアップしていきます。
2022 年 10 月には、「デモデイ」(成果発表イベント)を実施予定です。
■主催者コメント
参天製薬株式会社 執行役員 Global Head of Core Principle & People Centricity 森田貴宏のコメント
業界を問わず多くの企業・団体の方々が「VISI-ONE」のビジョン、および、この「VISI-ONE アクセラレータープログラム」の目的に共感し、応募してくださったことを大変嬉しく思います。Santen、JBFA、IBF Foundation の 3 者と採択企業、および実装パートナーの多様な強みを持ち寄ることで、このプログラムが、実行性のあるサステナブルな事業として結実し、“見える”と“見えない”の間にある“壁”が引き起こす社会課題の解決、ひいては、社会的にもますます重要性が高まっている DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進が加速されることを期待しています。また、この取り組みは、Santen が目指す理想の世界 「Happiness with Vision」 の具現化にもつながることを確信しています。
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会 専務理事 兼 事務局長および、一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション 代表理事 松崎英吾のコメント
今回、多数の応募を頂き、眼や視覚にまつわる社会課題に対し、すでに様々な社会実装への取り組みがあることを、改めて実感しました。視覚障がい者が競技者として参画し、身近に存在する私たちのもとに、実証実験の申し入れを頂く機会も増えていますが、それらが断片的、一時的な取り組みであることが多いのも実情です。本プログラムが、一つ一つの社会実装へのサポートとなることはもちろん、それらが横断的、複眼的に推進され、社会的インパクトにつながっていくよう、引き続き努めてまいります。
Santen、JBFA、IBF Foundation の 3 者は、「“見える”と“見えない”の壁を溶かし 社会を誰もが活躍できる舞台にする」という共通のビジョンを掲げ、インクルージョン社会を実現すべく、当事者、企業、官公庁など、ステークホルダーとのネットワークを構築しながら、引き続き取り組みを推進していまいります。
以上
Santen(参天製薬株式会社、本社:大阪市)について
Santen は、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、医療用・一般用の医薬品や、医療機器の研究、開発、販売・ マーケティング活動を行っており、世界約 60 を超える国・地域で製品を販売しています。Santen が目指す理想の世界、「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現に向け、世界中の技術や組織・人材をつなぎ、「見る」を通じて人々の幸せを実現する Social Innovator として、眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減することを目指します。
130 年の歴史の中で培われた科学的知見や企業力を活かし、製薬企業としての枠を越え、患者さん起点で眼科医療ソリューションの開発と提供に取り組み、価値ある製品・サービスの提供を通じ、患者さんや患者さんを愛する人たちを中心に社会への貢献を果たしていきます。
詳細については、当社ホームページ https://www.santen.com/ja/をご参照ください。
JBFA(特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会、新宿区)について
JBFA は、ブラインドサッカー及びロービジョンフットサルを統括する中央競技団体で、「視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会の実現」をビジョンに掲げ活動しています。競技普及・強化活動と並行して、競技特性を活かした健常者向けのダイバーシティ教育プログラムを展開しています。2018 年度朝日スポーツ賞受賞。詳しくは、弊会ホームページ https://www.b-soccer.jp/をご覧ください。
IBF Foundation(一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション)について
IBF Foundation は、「ブラインドサッカーで障がいはなくせる」をビジョンに掲げ、ブラインドサッカーが国際的に広くプレーされるスポーツとなること、および各国の競技団体の組織力向上に貢献することを通じて、世界の視覚障がい者のクオリティ・オブ・ライフを向上させることを目的に、2019 年 1 月 11 日に設立。世界保健機関(WHO)の「国際生活機能分類」に定義される障がいの 3 つの要素「損傷(impairment)」、「活動制限(activity limitation)」、「参加制約(participation restriction)」を、ブラインドサッカーを通じて解決するために活動しています。
取り組み方は、①中間支援活動 ②パートナーとの協業 ③自ら主たる事業者として活動の3つの形式があります。
これまで、人材を派遣しての国際大会運営支援や世界各地の団体へのブラインドサッカー用具の提供などを行ってきています。ホームページは、https://www.ibf-foundation.football/
リリースのダウンロード
視覚障がいに関わる“壁”を溶かすプロダクトやサービスの新規事業創出を支援する「VISI-ONE アクセラレータープログラム」採択企業 6 社を決定
-本プロジェクトの運営に関するお問い合わせ先-
事務局: ReGACY Innovation Group 株式会社
E-mail: backoffice@regacy-innovation.com
ホームページ: http://regacy-innovation.com/index.html
-本プレスリリースに関するお問い合わせ先-
参天製薬株式会社 コーポレート コミュニケーション
E-mail: communication@santen.com
NPO 法人日本ブラインドサッカー協会 広報室
Email: media@b-soccer.jp
一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション 広報担当
Email: info@ibf-foundation.football