ご挨拶
日頃よりブラインドサッカーならびにロービジョンフットサル、協会活動につきまして格別のご理解とご尽力をいただき厚く御礼を申し上げます。
この度の「令和6年能登半島地震」により、災害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。皆様の安全と平穏な生活、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
昨年、2023年はブラインドサッカーの歴史において画期的な年となりました。3カテゴリーの日本代表が、初めて揃って世界選手権の舞台に立ったのです。
世界デビューの「ブラインドサッカー女子日本代表」は準優勝、「ロービジョンフットサル日本代表」は初の予選突破。そして「ブラインドサッカー男子日本代表」はこれまでの『世界選手権』での最高の価値ある5位を確定させ、パリ2024 パラリンピックに自力で初の出場権獲得が決定しました。
東京パラリンピックに続き、2大会連続出場となります。パリ2024 パラリンピックの出場国枠は、8か国のみです。大変な狭き門です。出場は、開催国のフランス、各大陸枠で1か国<トルコ(ヨーロッパ)・モロッコ(アフリカ)・中国(アジア/オセアニア)・ブラジル(アメリカ)>、それ以外の世界選手権上位3か国<アルゼンチン・コロンビア・日本>です。自力での出場権獲得を誇らしく思います!
ブラインドサッカー(ブラインドフットボール)は、2004年のアテネパラリンピックから種目として採用されましたが、これまで、アテネ(2004)、北京(2008)、ロンドン(2012)、リオ(2016)と幾度となく出場の高い壁に遮られてきました。乗り超えることができませんでした。
私たちは、間違いなく新しい「時代の目撃者」その場に立ち会うことのできる「歴史の証人」となりました。パラリンピックイヤーの今年、パリ2024ではメダル獲得をめざします。着実に強化を重ね準備を進め、さらに強い日本代表、愛される日本代表をめざしてまいります。熱いご声援をよろしくお願いいたします。
また、世界選手権出場に際して実施したクラウドファンディングでは、766名の皆さんに約1,000万円のご支援をいただだきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
「アスリート育成パスウェイ」では、普及の取り組みから力を入れています。HPD(ハイパフォーマンスディレクター)を中心に、この“日本版FTEM”の考えのもと、選手の発掘、育成から次世代、代表エリートまでの一貫したさらなる強化体制を構築してまいります。
ご存知のようにブラインドサッカーは、見えない人、見える人が一緒にプレーする競技です。視覚障がい者と健常者が同じピッチに立つブラサカには、インクルーシブ社会を象徴するスポーツとしての訴求力があります。私たちはこのスポーツの持つ力を再認識し、もっともっと価値を提供してまいります。
そして、皆さまとともに協会が掲げているビジョン「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」、ミッション「ブラインドサッカーに携わるものが障害の有無にかかわらず、生きがいを持って生きることに寄与すること」に力を注いでいくことをお約束いたします。
国内のブラインドサッカーに目を移すと、“一つ先の、新リーグ”「LIGA.i ブラインドサッカートップリーグ」が2年目のシーズンを終えました。選手の成長やクラブチームの組織力強化、日本代表の強化に資することはもちろん、満員の観客で埋まるスタンドの光景を描いています。会場演出やエンターテイメント性など大会運営力にも期待しているところです。第2節では、配信のみに特化した新しい企画も試みました。参加するチームは競技力だけではなく、組織運営力や、競技普及活動への注力度合いなど、複合的な観点から決定されます。クラブチームが組織基盤を強め活動の幅を広げていくこと、またJBFAとしても組織運営力を高めることで、社会的信頼の獲得に繋がり、パラスポーツの価値をより高めるものと考えています。この新しいチャレンジを通じて、ブラインドサッカーの魅力をお伝えできたのではないかと思っています。
今後も「地域リーグ」「トップリーグ」そして「日本選手権」が大きなベクトルに向かって、ますますシナジー効果を発揮していくことになります。試合機会が創出されることにより、日常的にブラインドサッカーの試合が、全国各地のどこかで当たり前に開催されている、そんな状況が生まれることを願ってやみません。クラブチームにとっては、より主体的な参加が可能になり試合に臨めることにつながります。ブラサカがより身近なものになり、ブラサカファンにとって魅力的な試合が増えます。
競技団体として、クラブチームが47都道府県に設立され地域に根差した活動の裾野が広がるプログラムにも傾注しています。様々な見え方、見えにくさの選手がプレーするロービジョンフットサルについては、現役のフットサルプレイヤーが弱視で見えづらくなっても、ずっと競技が続けられる活躍の場があるのだという啓発の必要性を感じています。
今年も引き続き、協会の事業の柱の一つであるスポ育やOFF T!ME、OFF T!ME Bizなどのダイバーシティ&インクルージョン事業、キッズキャンプ、キッズトレーニング、地域リーダープログラムwithブラサカなどの既存プログラムにも取り組んでいきます。
おたすけ電話相談窓口、同行援護サービス事業「meetme-X(ミートミークス)」にも力を入れています。この新しく立ち上げてきた福祉事業は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。視覚障がい者の外出をガイドヘルパー(同行援護従業者)がサポートしていきます。JBFAでは同行援護の利用を拡大することにより、サービスや制度の持つ利便性に置き換える仕組みと、それぞれがより主体的に行動できるシステムの構築を考えています。障がい者の社会参加を後押しして、“混ざり合う社会”の実現と“生きがいを持って生きる”ことに繋がるよう信念を持って推進しているのです。
また、人が無意識に持つ偏見を可視化する「UB-Finder(ユービーファインダー)」という測定ツールの利活用も積極的に推進していきます。私たちを取り巻く環境も、都市構造、道路や建物など日常のハード面のバリアフリーは飛躍的に進歩していますが、まだ課題もあります。これからも心のバリアフリーや意識のイノベーションの推進、アンコンシャスバイアスへの気づきなどインクルーシブな社会の実現に大きく貢献できるものと確信しています。
いま、障がい者スポーツは大きなうねりと関心の中にあり、注目されています。日本障がい者サッカー連盟を通じて、7つの障がい者サッカーが連携し、障がい者スポーツの認知度向上と啓発をしていきたいと思っております。
年々「ブラサカファミリー」の大きな広がりを感じています。競技も事業も“地域との連携”が、キーワードの一つです。様々な事業やプロジェクト、大会の開催にあたっては、パートナー企業や協賛各社はもちろん、実に多くのサポーター、ボランティア、運営スタッフ、レフェリー、行政や自治体、学校、地域の方々、チーム関係者、試合会場にご来場の皆さん、全国の多くのブラサカファンのサポートによって支えてられています。
あらためて、すべての関係者の皆さまに対し深く感謝申し上げます。
スタッフ一同、熱い気持ちを持ちますます張り切っています。皆さまの声に積極的に傾聴し、新たな視座に立って、これまで築き上げてきた活動にさらに向き合い前進していく所存です。 日本ブラインドサッカー協会(JBFA)では、中央競技団体としての役割機能を果たしていく一方、「競技」と「事業」を両輪に、社会性を持った事業型・課題解決型NPO法人として様々な事業に果敢に取り組んでいきます。
今後ともご支援の程よろしくお願いいたします。
2024年を輝かしい一年にしていきましょう!
2024年1月
NPO法人日本ブラインドサッカー協会
理事長 塩嶋史郎