ご挨拶
この度、日本ブラインドサッカー協会の理事長に就任いたしました金子久子です。先ずは、日ごろよりブラインドサッカーの活動を支えてくださっている皆さま、そして協会にご支援をいただいているすべての関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。
2024年、男子日本代表チームが出場枠8か国という狭き関門を突破し、9月のパリ2024パラリンピック競技大会に自力出場を果たし、国際舞台で闘志あふれるプレイを披露しました。結果は8位でしたが、12,000席が連日満席になるスタジアムで、懸命に戦う選手の姿は、日本国内外の多くの方々に強い印象を与え、ブラインドサッカーの可能性が改めて示されたと感じています。私たちはこの結果と経験を踏まえ、次のステージへと着実に歩みを進める誓いを新たにしています。
世界ランキング1位の女子日本代表チームにも大きな期待が寄せられています。女子選手たちの練習環境を整え、彼女らが持てる力を存分に発揮し、ブラインドサッカーの未来を切り開く存在となるよう支援を強化してまいります。国際的にも女子代表チームを擁する国が増えてきているのは喜ばしいことです。他国代表チームとの試合や交流の機会を設け、女子ブラサカの国際的な地位向上も推進してまいります。
さらに、ロービジョンフットサルの普及も重要なテーマであり力を入れています。視覚障がい者の多くがロービジョン(弱視者)であり、ロービジョンフットサルは、視覚に制約がある方々に新たな挑戦の場を提供する競技で、見えにくさのタイプやレベルなど多様な人々が共に競技に取り組む機会を広げる可能性を持っています。
選手としてプレイする機会、また観客として試合を観る機会を最大化すべく、国内大会では「地域リーグ」「日本選手権」の大会を設け、ブラインドサッカーはさらに「トップリーグ」の大会を設けています。これは、見える見えないに関わらず、多くの人にブラインドサッカー、ロービジョンフットサルを身近に楽しむ機会を持っていただくためであり、その成果はクラブチーム数や試合の観客数の増加に現われています。
日本ブラインドサッカー協会は、「ブラインドサッカーを通じて視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」をビジョンとして掲げています。ブラインドサッカーを通じて、視覚障がいの有無に関わらず、また多様な背景を持つ人々が対等に関わりあう社会の実現を目指しています。このビジョンは、ブラインドサッカーの普及が単なるスポーツの枠を超えた取り組みであり、共生・共創の意識を社会に広げるための活動と考えています。
協会の活動の一環として、ブラインドサッカーを応用した晴眼者向けのプログラム(個人向けのブラインドサッカー体験プログラムOFF T!ME、企業向けブラインドサッカー研修OFF T!ME Biz、学校向けプログラムスポ育)の開発・提供を重要な事業と位置付けていますが、参加者が増えていることに励まされています。ダイバーシティ&インクルージョンへの関心の高まりと社会の要請に対し、体験を通じたリアルな学びを提供することにも注力してまいります。
視覚障がいのある若年層向けのプログラムとして、キッズキャンプ、キッズトレーニングを提供し、視覚障がいがある子どもたちが当たり前にスポーツ参加できる環境を作っています。クラブチームのリーダーシップやマネジメント力の育成のための研修「地域リーダープログラムwithブラサカ」は今年で6期を迎えました。さらに、視覚障がい者向けの「おたすけ電話相談窓口」「同行援護サービス事業」も視覚障がい当事者の社会参加を推進する大切な取り組みです。
以上のように、競技と事業を車の両輪のように発展させてきた協会の22年間の歩み、そしてそこに関わり貢献くださった方々のことを思うと、大変身の引き締まる思いがいたします。協会理事、スタッフ一同、これからも課題にチャレンジし邁進していく所存です。皆さんと共に「混ざり合う社会」を創っていくことができますよう、今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げます。
2024年10月
NPO法人日本ブラインドサッカー協会
理事長 金子久子