ブラインドサッカーのルール
ブラインドサッカー(B1クラス)は、フットサルをもとにルールが考案されたスポーツで、視覚を完全に閉じた状態でプレーします。
アイマスクを着用した4人のフィールドプレーヤー(FP)と、晴眼者もしくは弱視者が務めるゴールキーパー(GK)がいるほか、相手チームのゴール裏にガイド(コーラー)、自陣サイドフェンス外側に監督がいます。
通常、情報の8割は視覚から得るといわれていますが、ブラインドサッカーは視覚以外の感覚を研ぎ澄ませておこなうスポーツです。
ボールを扱う技術はもちろんですが、視覚障がい者と晴眼者が力を合わせてプレーするため、ブラインドサッカーでは「音」と「声」によるコミュニケーションが重要です。
対象・資格
フィールドプレーヤー | B1クラス(国内大会では弱視者、晴眼者も出場可能) |
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GK | 晴眼者または弱視者 |
主な規定
人数 | 選手5人(FP4人、GK1人)、スタッフ2人(監督1人、ガイド1人) |
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試合時間 | 前・後半とも15分プレーイングタイム(国内大会では各大会要項に準拠) |
ピッチサイズ | 40m×20m |
ゴールエリア | 縦2m×横5.82m |
ゴールの大きさ | 縦2.14m×横3.66m |
ブラインドサッカーならではのルール
アイマスクの着用
国際大会は開幕前に専門医による視力検査があり、B1クラスと判断された人しか出場できません。B1クラスに該当するのは、視力がLogMar2.60(0.0025)より低いと判断された選手です。
B1競技者は、ユニフォームやソックス、シューズなど基本的な用具に加え、両目にアイパッチを貼り、前部と頭頂部に緩衝性の素材でできた詰めもののあるアイマスクを装着します。
日本では、競技の普及のため、国内のルールとしてフィールドプレーヤー全員がアイパッチを貼り、アイマスクを着用しています。
国内大会では男女ともに目の見える人も弱視の人も、B1クラスの選手と共にプレーできるようにしていますが、代表チームは男子女子別々にそれぞれのチームが活動しています。
音の出るボール
大きさはフットサルボールと同じですが、ブラインドサッカーのボールは内部に金属のプレートが取り付けられており、転がると音が鳴る構造です。 「シャカシャカ」という音によって、フィールドプレーヤーたちはボールの位置や転がり方を把握することができます。
「ボイ!」という声
フィールドプレーヤーはボールを持った相手に向かって行く時に、「ボイ!」と声を出さなければなりません。
選手の存在を知らせ、危険な衝突を避けるためです。発しないと、ファウルを取られます。
「ボイ(Voy)」とはスペイン語で「行く」という意味です。
目の見える人の協力
敵陣ゴール裏に「ガイド(コーラー)」と呼ばれる役割の人が立ちます。主に攻めている場面で戦術的な指示を出したり、相手や味方の位置やゴールまでの距離、シュートのタイミングなどを声で伝えたりします。
また、GKは晴眼者または弱視者が務め、自陣での守備について選手に声で指示を出したり、ゴールスローで攻撃の起点にもなります。
サイドフェンスの外側に立つ監督は、選手交代の決定などに加え、ピッチ中盤でのプレーに指示を出しながらピッチの中央を選手に知らせます。
選手同士の声の掛け合いも含めたコミュニケーションが勝負のカギを握ります。
サイドフェンス
フットサルコートと同じ広さのピッチで、両サイドライン上に高さ1メートルほどのフェンスが隙間なく並びます。フェンスの存在は、ボールがサイドラインを割ることを防ぎ、選手がピッチの大きさや向きを把握することを助けます。 フェンスにボールをぶつけ、その跳ね返りを利用したパスはブラインドサッカーならではのテクニックで、試合では頻繁に見られるプレーです。
ヘッドギアの着用
選手同士での衝突や、転倒したときの頭部の外傷を予防するため、保護用のヘッドギアを装着します(国内ルールのみ装着が義務づけられています)。
PKと第2PK
ペナルティーエリア内での反則には、相手チームにPKが与えられます。 ゴールから6メートルの位置から蹴ります。もう一つ、第2PKというルールも。前後半それぞれ、チームで累積されるファウルが5つを超えた場合に、相手チームに与えられます。ゴールから8メートルの位置から蹴ります。
ブラインドサッカーの観戦マナー
試合中はお静かに
試合中、アイマスクをしたフィールドプレーヤーたちは、監督やGK、ガイドの指示、味方や相手の声、走る足音、ボールの音など、たくさんの「音」に集中しています。言葉の内容はもちろん、どの角度・位置から声がするのか、どこからボールの音が近づいてくるのか、とても敏感に察知しています。相手の気配や息遣いまでも、感じ取っているといいます。
想像してみてください。
視覚がシャットアウトされた暗闇の中、視覚以外の感覚を研ぎ澄ませます。そして、様々な「音」から得た情報をもとに、頭の中にピッチを思い描いていくのです。
一般的なサッカー観戦であれば、試合中に大きな声援を送りますが、ブラインドサッカーの試合では、静かに観戦することこそが応援。試合中、ぜひ耳を澄ませてみてください。ボールの転がる音、選手たちの声や足音、フェンスにぶつかる音が感じられると思います。
シュートが決まったら大きな歓声を!
ブラインドサッカーの試合中は、プレーが止まった時とゴールが決まった時に声援を送ることができます。観戦する側にとっては、好プレーや惜しい場面で声をあげたくなるものですが、ゴールが決まるまでは「静寂」にご協力をお願いします。
とくにPKの時はお静かに。静まったピッチ上、ガイドが選手に、ゴールの位置を知らせるために左右のゴールポストを叩いていくと、ピッチに金属音が響きます。フィールドプレーヤーが蹴る準備を終えると、審判のホイッスル−−ここが緊張と静寂のピークです。
ピンと張りつめた空気を鋭いシュートがつんざき、ゴール!
この歓喜の瞬間には、観客の皆さんも感情を爆発させて、大きな声援と拍手を送ってください。