ニュース #006 目が見えるのにどうしてブラサカを? 晴眼プレーヤー特集!

#006 目が見えるのにどうしてブラサカを? 晴眼プレーヤー特集!

目が見える志水選手がブラインドサッカーを選んだ理由は?
ブラインドサッカーから学んだ考え方とは?

一般的にブラインドサッカーというと「視覚障がい者、全盲の人がやる競技」というイメージが強いでしょうか? このメルマガの読者の方々はご存知の方も多いと思いますが、目の見える人も一緒に楽しめるのがブラサカの特徴の一つです。国際大会の場合はフィールドプレーヤーは全盲(B1クラス)であることが条件ですが、クラブチームが出場する国内大会は、アイマスクを着用すれば晴眼者もフィールドプレーヤーとしてプレーできます。しかし、多くの人はこう思うのではないでしょうか。
「目が見えるのに、なんでわざわざブラインドサッカーをしているの?!」

今回は、そんな疑問を解消すべく、晴眼者のフィールドプレーヤーとして活躍している志水聡選手(しみずさとる/埼玉T.Wings)にインタビューをしました!

「ブラインドサッカーを始めたきっかけは?」
「ブラインドサッカーってサッカーよりも楽しいの?」
「視覚障がいのあるチームメートとのコミュニケーションは?」

志水選手の話を聞くと、晴眼者がブラインドサッカーを楽しむことができる深い理由と、ブラインドサッカーがもたらす視覚障がい者と健常者の関係性がありました!


サポートメンバーになるつもりが、いつの間にか選手になっていた!?

志水 聡 選手(晴眼・埼玉T.Wings所属)

 

ーーまずはブラインドサッカー歴とサッカー経験について教えてください。

ブラサカ歴は2年です。2019年5月から始めました。サッカー経験は小学校の6年間です。

ーーブラインドサッカーをはじめて知ったのはいつですか?

ブラインドサッカーの存在を知ったのは、大学生のときです。広島大学の教育学部で盲学校の教員免許を取るために勉強をしていました。知り合いの先輩が障がい者スポーツのサポートのボランティアをしていて、教えてもらったのが最初です。広島にブラインドサッカーチームがあったことは知っていましたが、大学生の時にはまだブラサカには関わっていませんでした。

ーーブラインドサッカーを選手として始めてみようと思ったきっかけは何ですか?

大学卒業後に、視覚障がいリハビリテーションの勉強するために、国立障害者リハビリテーションセンター学院に入学しました。そこで埼玉T.Wingsの辻選手と知り合い、練習に参加したのがきっかけです。その時は、晴眼者がフィールドプレーヤーとして出られることを知らなかったので、スタッフとしてチームに関われたらいいなと思っていましたが、いつの間にか選手登録されていました(笑)

ーーちなみに盲学校の教員免許を取ろうと思った理由はなんですか?

高校生の頃に、将来的には教師になりたいという漠然とした目標を持ったのですが、具体的な学校種や専門科目が決められませんでした。その時、自分の志望大学の教育学部に特別支援教育の教員養成学科があり、そこで盲学校の教員免許を取得できることを知りました。私の母が視覚障がい者の支援に携わっていたこともあり、不思議な縁を感じたので、その道に進もうと決意しました。

ーーどうして目が見えるのに、サッカーではなくブラインドサッカーをやっているのですか?

晴眼者にとってアイマスクをしてプレーをすることは、不自由で難しいことです。だからこそ、一つ一つのちょっとした成功がうれしいし、それがチームの勝利につながる瞬間がとても気持ち良い。これはブラインドサッカーだからこそ味わえる楽しさだと思います。

ーー普段、目が見えている志水選手。当然、日常生活でも目をあけて生活しているわけですが、ブラインドサッカーではアイマスクをつけて走り回っています。恐怖心はないですか?

大学や国立障害者リハビリテーションセンター学院の授業で、フロアバレーやゴールボールなど、他の視覚障がい者スポーツを体験したこともありますが、ブラサカが断トツで一番怖いです。特に、選手同士で衝突したり、準備していないタイミングでシュートブロックをすると正直結構痛いです(苦笑)。ただ、試合になると勝利が第一なので、そこはあまり意識していません。

ーー試合中はどんな感覚ですか? どんな音を聞いて動いているのですか?

私の場合は、サッカーテレビゲームの一人称視点のプレイ画面を頭に思い浮かべて、自分自身を操作する感覚で動いています。
音に関しては、ガイド・監督・ゴールキーパーの三点は不動なので、ピッチ上の基準点になります。そこから自分の位置を相対的に把握しています。それに加えて、ボールの音や選手の声を聞いて距離感や角度を調整しています。

ーー晴眼者は見えない状態に慣れていないぶん、ブラインドサッカーでは不利な気がするのですが、晴眼者だからこそのストロングポイントはありますか?

自分や他の選手のプレーを、視覚的に見て振り返ることができるのが、晴眼者のストロングポイントだと思います。プレー映像を見返して、自身のプレーにフィードバックし試行錯誤するという上達のアプローチができます。
アイマスクをつけたときの感覚や音を拾う力は、やっぱり普段見えないなかで生活している人たちの方が優れていると感じます。だからこそ、私は自分ができる全ての手を尽くして上達できるように考えています。晴眼者・中途障がい・先天性障がい、それぞれ上達のアプローチや感覚に特徴があって、強みや弱みがあるのもブラインドサッカーのおもしろさの一つだと思います。

 

ブラインドサッカーを通じて、柔軟で多角的な考え方の大切さを知ることができた

ーー志水選手が所属している埼玉T.Wingsは、「第18回 アクサブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」で優勝し日本一に輝くなど、強豪です。チームメートには視覚障がい者もいますが、彼らとの関係性はいかがですか?

ブラインドサッカーを楽しむという気持ちと、勝利を目指すという緊張感の両方を大事にしている、メリハリのあるチームです。
メンバーは、障がいの有無・年代・性別もさまざまで、みんな個性的です。一人一人の距離が近く和やかな雰囲気があります。ピッチ外ではただの友だちと言えますかね。新型コロナの前は、ご飯に行ったり、カラオケに行ったりしていました。視覚障がいのある人とそんな関係性を築くことができたのも、ブラインドサッカーを始めたことがきっかけです。この競技を通じて、本当にいろんな人と出会えました。

ーーブラサカを始めて変わったことや気付いたことはありますか?
ブラインドサッカーは、他の視覚障がい者スポーツよりも難易度は高いと思います。そのぶんピッチでの自由度は高く、コンタクトも激しいです。この競技を通して、これまで自分が抱いていた「視覚障がい者」の概念が覆されました。

このことから、自分が勝手に描いているイメージや先入観で物事を捉えるのではなく、柔軟で多角的に考えることの大切さを感じました。

ーー「柔軟で多角的に考えること」というのは、具体的にどのようなことでしょうか?

多くの人は「視覚障がい」と聞くと、どんなところに見えない不自由さや生活の困難があるのかは、ある程度は想像できるのではないでしょうか。しかし、想像できるがゆえに、視覚障がい者ができること/できないことの境界線を、自分たちの価値観や固定観念で知らず知らずのうちに決めつけてしまっている部分があると思うんです。

「障がい」という言葉がどうしてもネガティブなイメージを連想させてしまうのかもしれません。見えないとできないことや難しいことを想像できる人は多いと思いますが、見えなくてもできることやその工夫の仕方にまで想像を広げられる人はどれほどいるでしょうか?
私はブラインドサッカーを通して、 “見えない人にはサッカーは難しい”のではなく、“見えない人でもサッカーを楽しむにはどうすればいいか”という考え方の工夫が大切だと気づきました。

視覚障がいの特性に気付き、サポートすることは大切です。しかし、偏った価値観による行動が、かえって一人一人の持つ可能性の芽を摘んでしまうことに繋がってしまいます。自分の知っている側面だけで、物事を分かったつもりにならないこと。自分が持つ固定観念に囚われないようにするためには、常にいろいろな角度から物事を捉える意識と柔軟性が必要だと思います。これは「サッカー」や「視覚障がい」に限らず、私たちの日常のさまざまな場面で生かすことができる工夫だと思います。

ーー志水選手の、ブラインドサッカーにおけるこれからの目標は何ですか?

自分がチームに加入した年に、幸運にもすぐに日本一になることができました。しかし、そのときは私は素人同然で、まだ戦力にはなれていませんでした。今度は胸を張って日本一のメンバーを名乗れるように、自分もチームにしっかりと貢献して、日本選手権での優勝を目指します。

また、チームには小学生や高校生の選手もいるので、そうした選手たちのサポートをしたり、埼玉県内でのブラインドサッカーの普及活動をしたり、今後はプレー以外の活動にも力を入れたいです。

ーー最後に、読者の皆さまへ伝えたいことはありますか?

今はブラインドサッカーの試合を生で観戦することができないですが、試合観戦ができるようになったらぜひ会場に足を運んでいただきたいです。ブラインドサッカー独特の臨場感や激しさを楽しんで、皆さんなりの新たな発見をしてもらえたらと思います。


編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。ブラサカマガジン担当の貴戸です。今回特集した、晴眼のブラインドサッカー選手の人口をもっと増やしたいと、私は思っています。
ーーただ純粋にブラインド”サッカー”を楽しむ。その楽しさのなかで、視覚障がい者との対等で自然な接点がどんどん増えていく。障がいの有無・年代・性別がさまざまなメンバーがいるチーム内で、みんなが楽しみながら、チームとしての目標を達成するためには、各々がどう貢献すればよいかを考える。そうして、ピッチ内外で、視覚障がい者にとっても晴眼者にとっても、チームが自分の居場所となる。ブラインドサッカーがそれぞれの生きがいとなる。ーー

「障がいのある人とともに生きていく方法を考える」というと、なんだか敷居が高く感じます。しかし、動機が崇高なものでなくても、”サッカー”を入り口に”楽しさ”を感じることで、障がいのある人もない人も混ざり合うために何をしたらよいのかを、自然と考えるようになります。

ブラインドサッカー男子日本代表強化指定の寺西選手は、「ブラインドサッカーのフィールドがまさに、向かって欲しい社会を体現していると感じています。お互いがお互いを助け合いながら、目標や進みたい方向に向かっていく。互いを理解しながらチームが成されている、そういった形が世の中にも、もっと広がってもらえればいいと思いますし、そういう世の中になれば、障がいの有無に関わらずみんなが生きやすい世の中になるんじゃないかな」と言います。晴眼のブラインドサッカー選手が増えるように、ぜひこの記事をシェアいただけますと幸いです!


 

 

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