メディアリリース


2012年6月27日

報道関係者各位



ロンドンパラリンピック
出場枠決定に関する、スポーツ仲裁裁判所(CAS)への申し立てについて



日本ブラインドサッカー協会
理事長 釜本 美佐子



平素より、日本ブラインドサッカー協会(東京都新宿区 理事長 釜本美佐子、以下JBFA)の活動にご理解、ご協力を賜り誠にありがとうございます。
 
さて、5人制サッカー(ブラインドサッカー)はロンドンパラリンピック(開催期日 2012年8月29日から9月9日)への出場において、その出場枠をかけたアジアの2つの競技会において敗退し、その出場権を逃しております。世界各地では同様に、ヨーロッパ選手権やパンアメリカ選手権が開催され、出場国がすでに確定しております。


しかし、1枠出場予定であったアフリカでは、アフリカ選手権が開催されず、その出場枠について、アフリカの国の代わりにトルコが出場すること(出場する方針であること)を国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)に確認しました。JBFAでは選手や関係者と協議の上、これを不透明かつ不公平な決め方と考え、IBSAや国際パラリンピック委員会(IPC)に対し、問い合わせや抗議を行って参りました。しかし、事態が好転することはなく、開催も迫ってきていることから、スポーツ仲裁裁判所(CAS)への申し立てを実施、6月25日(日本時間26日)にCASに受理されました。今後、CASによる裁定が行われることになりますが、ここに申し立てに至る経緯と内容を報告させて頂きます。




■ ロンドンパラリンピックへの出場枠について
 
ロンドンパラリンピックの出場枠はIPCによって、下記表の通り規定されています(別紙「London 2012 Paralympic Games Qualification Guide –Football 5-a-side」を参照)

   

(表1)パラリンピック出場枠と決定国

枠数/
概要/
決定国名

1枠/
2010年世界選手権の優勝国
/ブラジル

2枠/
アジア地域


 ・2010年広州アジアパラゲームス優勝国/
中国

 ・2011年アジア選手権優勝国
 (上記と同一国の場合次点)
/イラン

2枠/
ヨーロッパ地域

/2011年ヨーロッパ選手権優勝国、準優勝国/フランス
スペイン
2枠
(1枠)/
パンアメリカ地域
/2011年パンアメリカ選手権優勝国、準優勝国/
アルゼンチン
*ただし、上記2カ国のいずれかが2010年世界選手権で出場資格を得ている場合は、1ヵ国


1枠/
アフリカ地域/2010年世界選手権出場国、ないし、2011年アフリカ選手権優勝国

/該当なし

1枠/
開催国/
イギリス



■ アフリカのブラインドサッカーの普及状況
 
アフリカの複数の国がブラインドサッカーを推進しているという説明がIBSAからはあるものの、正確な実情がJBFAで把握できているわけではありません。
 しかし、アフリカの国はこれまでも2010年の世界選手権(イギリス・ヘレフォードにて開催)に出場を予定しながら、直前に出場をキャンセルするなど、国際舞台に出場する体制が整っているとは言いがたい状況です。



■ 利用されなかった出場枠の再割当てに関する規定
 
IPCの文書では、利用されなかった出場枠について規定があります(別紙「London 2012 Paralympic Games Qualification Guide –Football 5-a-side」を参照)。


 (1)2010年世界選手権優勝国の枠が利用されなかった場合
  →その大会の次点のチーム
 
  (2)ホスト国の枠が利用されなかった場合
  →2010年世界選手権の次点の国
 
  (3)地域選手権(Regional Championships)で利用されなかった場合
  →その大会の次点の国

 
つまり、今回のアフリカ枠のケースは(3)にあたり、地域選手権によって決められる予定であった同枠は、アフリカ選手権自体が開催されていないため、次点の参加資格を有する国もないことになります。



■ IBSAのアフリカ枠の再割当ての理由
 
IBSAは、これをトルコに再割当ていたしました。その理由は次のようなものでした。


 ・地域選手権の参加国数が最も多かったヨーロッパ選手権から、次点の国を割り当てる

 ・したがって、同大会のフランス(ヨーロッパ選手権枠)、スペイン(ヨーロッパ選手権枠)、イギリス(開催国枠)に次ぐ、トルコを割り当て国に選出

 ・その決定方法は、裁量権の乱用ではなく、妥当なものである



■ JBFAの申し立ての論点
 
これに対し、JBFAは以下の論点でIBSAおよびIPCに交渉を行って来ました。


(1)決定が適切ではないこと

 ・IBSAより、再割当てがトルコに与えられたことは、問い合わせるまで情報公開されず、他の利害関係国が知る手段がない状態であったこと

 ・JBFAが公式にトルコの出場を確認したのは6月13日付のIBSAからの返信であること

 ・誰が、どのように決めたのか、不透明であること


(2)規定を遵守していないこと

 ・IBSAの参加資格を定める規定には、地域選手権で埋まらなかった場合の再割当ての規定が一切ないこと

 ・IBSAが善後策をとるにしても、今回の決定は、他の国を考慮することもなく、その権限を超える不当なものであること

 ・最終的な決定者であるIPCの規定に照らしても、不当であること

 ・IPCもIBSAの決定を監督する責任があり、この責任を果たしていないこと



■ JBFAが求めているもの

 以上の理由で、JBFAはIPCおよびIBSAに対し、アフリカ枠の再割当てとして公平に決めるべく、各地域選手権の次点の国、すなわち、トルコ(ヨーロッパ選手権4位)コロンビア(アメリカ選手権3位)そして日本(アジア選手権3位)によるプレーオフを求めています。



■ 同じ利害を持つコロンビアとの同調
 
アメリカ選手権で3位となり、次点でパラリンピックの出場を逃していたコロンビアも、交渉の過程で日本への賛同の意を表明しています。



■ 申し立ての関係者の整理
 
スポーツ仲裁裁判所に対しての申し立てにおいては、以下の様な利害関係となっています。

 (1)被申立人

 ・IPC: International Paralympic Committee

 ・IBSA: International Blind Sports Federation
 
  (2)申立人

  ・JPC: Japan Paralympic Committee
 
  (3)申立人側の代理人

 ・長谷川俊明法律事務所:長谷川俊明弁護士、金子朝彦弁護士、江川淳弁護士、岸本学弁護士


 *JBFAはJPCに加盟する国内競技団体であり、申立人はJPCが代表し、JBFAは含まれません。



■ 資料

 ・London 2012 Paralympic Games Qualification Guide Football-5-a-Side:IPCの定めた参加資格規定


以上




本件に関する問合せ

JBFA:日本ブラインドサッカー協会

東京都新宿区百人町1-23-7 
新宿酒販会館4階

TEL 03-6908-8907 
FAX 03-6908-8908

E-Mail info@b-soccer.jp